Webサイトの改善は、見た目を整えることだけではありません。サイトの目的、訪れる人、必要な情報、次の行動、公開後の運用までをつなげて確認する必要があります。
このページでは、特定の業種やサイト形式に限定せず、幅広いWebサイトで確認できる項目を10領域に分けています。チェック欄は印刷時のメモや、社内レビューの印として利用できます。画面上で実際に操作する必要はありません。
チェック数の多さだけで良し悪しを決めるのではなく、「事業への影響」「ユーザーが止まる場所」「修正の緊急度」を見ながら優先順位を付けることが重要です。
チェックシートの使い方
まず、確認するページと、そのページに期待する行動を決めます。サイト全体を一度に見るより、トップページ、サービスページ、商品ページ、問い合わせページなど、役割ごとに確認した方が課題を見つけやすくなります。
- 対象を決める:サイト全体または特定のページを選びます。
- 目的を決める:問い合わせ、購入、予約、資料請求、認知など、期待する行動を確認します。
- 課題に印を付ける:当てはまる項目だけを選び、気付いた内容をメモします。
- 根拠を確認する:アクセス解析、検索データ、問い合わせ内容、社内の声などと照らし合わせます。
- 優先順位を付ける:影響が大きく、ユーザーの行動を止めている課題から着手します。
新規制作前に使う場合は、チェック項目を「制作時に満たしたい要件」として読み替えられます。既存サイトでは、現在できていないことを把握する診断項目として使えます。
1. 目的とターゲット
最初に確認するのは、誰のために、何を目的として運営するサイトなのかです。目的が曖昧なままでは、掲載情報やCTAの優先順位も決められません。
- 問い合わせ、購入、予約、資料請求など、サイトの主な目的が決まっていない
- 対象ユーザーが広すぎて、具体的な課題や検討状況を想定できていない
- 部署や担当者によって、サイトに期待する役割が異なっている
- トップページ、サービスページ、記事など、各ページの役割が整理されていない
- サイトの目的と、確認している成果指標がつながっていない
見直すときの考え方:「誰が、どのような状況で訪れ、何を理解し、次に何をするか」を一文で整理します。複数の目的がある場合も、ページごとに優先する行動をひとつ決めます。
2. ファーストビューと提供価値
ファーストビューは、ページを開いた直後に表示される範囲です。印象だけでなく、自分に関係のあるページだと判断できる情報が必要です。
- 運営者、商品、サービスの内容が最初の画面で分かりにくい
- 「未来をつくる」「課題を解決する」など、抽象的なコピーだけで終わっている
- ユーザーが得られる価値や、解決できる課題が示されていない
- 画像や装飾が中心で、判断に必要なテキストが不足している
- サービスを見る、商品を探す、相談するなど、次の行動が見えない
見直すときの考え方:見出しには対象者と提供内容を、補足文には具体的な価値や対応範囲を置きます。すべてを最初の画面に詰め込まず、次に見るべき情報へ自然につなげます。
3. サイト構造とナビゲーション
情報が充実していても、必要なページへたどり着けなければ読まれません。サイト構造は、運営側の組織ではなく、ユーザーが探す内容を基準に考えます。
- ナビゲーションに社内用語や意味の分かりにくい名称が使われている
- 目的の情報へ行くまでに、何度もページを移動する必要がある
- 似た内容が複数ページに分散し、どれを見ればよいか分かりにくい
- 現在地や、前の階層へ戻る方法が分かりにくい
- フッターや関連リンクから、重要なページへ移動できない
見直すときの考え方:主要なユーザー行動を3〜5種類に整理し、その行動に必要なページを近くに配置します。ページ名は、初めて見る人でも内容を予測できる言葉にします。
4. コンテンツとサービス説明
ユーザーは、提供側が伝えたい特徴だけでなく、自分の課題に対応できるかを確認しています。サービス説明には具体性と判断材料が必要です。
- 商品やサービスの対応範囲が曖昧で、何を相談できるか分かりにくい
- 機能や特徴の説明が中心で、ユーザーの課題との関係が示されていない
- 複数のサービスやプランを選ぶ基準が示されていない
- 長い文章が続き、見出しや要点から内容を把握しにくい
- 古い情報と新しい情報が混在し、現在の内容を判断しにくい
見直すときの考え方:「対象となる課題」「提供内容」「対応範囲」「進め方」「次の行動」の順に整理します。専門用語を使う場合は、ユーザーが理解できる補足を加えます。
5. CTAとコンバージョン導線
CTAは、問い合わせ、購入、予約、資料請求など、次の行動を促す要素です。目立たせるだけでなく、行動する理由とタイミングを設計します。
- ページごとに最も重要なCTAが変わり、優先する行動が分かりにくい
- 「詳しくはこちら」「送信」など、押した後の内容が分からない文言になっている
- ユーザーが判断できる情報を読んだ場所にCTAが配置されていない
- 複数のボタンが同じ強さで並び、どれを選ぶべきか分かりにくい
- 返答時期、相談できる内容、準備するものなど、行動前の不安を減らす説明がない
見直すときの考え方:主要CTAはページごとにひとつ決めます。ボタン周辺には、行動後の流れや心理的な負担を減らす短い説明を添えます。
6. 信頼情報と判断材料
ユーザーは、内容を理解した後に「この会社やサービスを選んでよいか」を確認します。信頼情報は誇張ではなく、判断に必要な事実を示すために用意します。
- 会社情報、運営者情報、担当範囲、連絡先などが不足している
- 事例や実績が見た目の紹介だけで、課題や対応内容が分からない
- 料金、見積りの考え方、契約条件などの目安がまったく見えない
- 対応できない範囲、注意点、利用条件などが説明されていない
- プライバシーポリシーや必要な規約へ分かりやすく移動できない
見直すときの考え方:実績数や規模を大きく見せるのではなく、誰が、どの範囲を、どのように進めるかを具体的に伝えます。未確認の成果や数値は掲載しません。
7. フォームと問い合わせ体験
フォームは、ユーザーが行動を完了する最後の場所です。入力項目だけでなく、送信前後の説明やエラー時の分かりやすさも確認します。
- 初回相談に不要な情報まで必須になり、入力項目が多すぎる
- 入力例、必須表示、補足説明、エラー内容が分かりにくい
- スマホで入力欄や選択肢が小さく、操作しづらい
- 送信後の完了表示や、自動返信、次の流れが用意されていない
- フォームが使えない場合のメールや電話など、代替手段が示されていない
見直すときの考え方:初回に必要な情報だけを必須にし、詳しい確認は返信後に分けます。送信前には返答の目安、送信後には受付完了と次の流れを示します。
8. スマホ表示とアクセシビリティ
スマホ対応は、画面幅に収めるだけではありません。読みやすさ、押しやすさ、キーボード操作、代替テキストなど、異なる利用環境でも情報へ到達できるかを確認します。
- 横スクロール、要素のはみ出し、文字や画像の欠けが発生している
- 見出しや本文の行が長すぎる、または不自然な位置で改行されている
- 文字サイズやコントラストが不足し、内容を読み取りにくい
- 画像の代替テキスト、見出し構造、フォーカス表示などが整理されていない
- ボタンやリンクが小さい、または近接していて押し間違えやすい
見直すときの考え方:実際の端末と複数の画面幅で、読む、探す、押す、入力する流れを確認します。見た目だけでなく、キーボード操作や読み上げを想定したHTML構造も確認します。
9. 表示速度と検索の基礎
表示の遅さや検索設定の不備は、内容を読まれる前の離脱につながります。専門的な施策の前に、基本的な設定と技術的な問題を確認します。
- 最初の表示が遅く、画像や外部スクリプトの読み込みが多すぎる
- ページごとのtitleやdescriptionが未設定、重複、または内容と一致していない
- h1や見出し階層が整理されず、ページの主題が分かりにくい
- リンク切れ、誤ったURL、不要なnoindexなど、公開設定に問題がある
- サイトマップ、robots、canonical、構造化データなどの基本設定を確認していない
見直すときの考え方:検索順位だけを目的にせず、ページの主題と内容を一致させます。表示速度、内部リンク、メタ情報、インデックス状況など、ユーザーと検索エンジンの双方が内容を把握できる基礎を整えます。
10. 計測と運用
公開後に改善を続けるには、何が見られ、どこで行動が止まっているかを確認できる状態が必要です。同時に、誰が情報を更新するかも決めておきます。
- 問い合わせ、購入、資料請求など、重要な行動を計測できていない
- 検索、広告、SNS、参照サイトなど、流入経路を区別して確認できない
- アクセス解析や検索データを導入したまま、定期的に確認していない
- 更新担当者、確認者、更新頻度、公開手順が決まっていない
- CMSや更新方法が複雑で、古い情報を修正しにくい
見直すときの考え方:すべての数値を追うのではなく、サイトの目的に関係する行動を決めます。月次や四半期など、無理なく続けられる頻度で確認し、変更内容と結果を記録します。
改善の優先順位を決める方法
チェックが付いた項目を、すべて同時に修正する必要はありません。次の4つの観点で並べ替えると、着手順を決めやすくなります。
- 事業への影響:問い合わせ、購入、予約など、サイトの目的に直接関係するか。
- ユーザーへの影響:多くの人が通る場所か、行動を止める問題になっているか。
- 根拠の強さ:アクセス解析、検索データ、問い合わせ内容、ユーザーテストなどで確認できるか。
- 実施しやすさ:文章修正、導線変更、フォーム改修、システム変更など、必要な工数はどの程度か。
Priority
フォームが送信できない、重要情報が誤っている、スマホで操作できないなど、目的達成を直接妨げる問題は最優先です。その次に、ファーストビュー、サービス説明、CTA、信頼情報の順で、ユーザーの判断を止めている場所を確認します。
課題が一つの領域に集中している場合は、部分改善で対応できる可能性があります。複数の領域にまたがり、目的やサイト構造から曖昧な場合は、リニューアルの前に情報設計を整理する必要があります。
定期的に見直すタイミング
Webサイトは、公開時点で完成ではありません。以下のタイミングで見直すと、古い情報や導線のズレを早めに発見できます。
- 商品、サービス、料金、対象顧客が変わったとき
- 広告、SNS、営業施策など、新しい流入経路を始めるとき
- 問い合わせ内容や商談時の質問に変化があったとき
- アクセス数はあるのに、問い合わせや購入につながらないとき
- CMS、計測タグ、外部フォームなどの仕組みを変更したとき
- 担当者が変わる、または長期間更新していないとき
FAQ
チェックが多い場合は、全面リニューアルが必要ですか?
必ずしも必要ではありません。課題が特定のページや導線に集中している場合は、文章、CTA、フォーム、ナビゲーションなどの部分改善から始められます。
アクセス解析を導入していなくても使えますか?
使えます。まずは内容と導線を目視で確認し、問い合わせ内容や社内の声を整理します。その後、必要に応じて計測環境を整えると改善結果を判断しやすくなります。
新規サイトの制作前にも使えますか?
使えます。各項目を制作要件として読み替えることで、目的、必要なコンテンツ、導線、計測、運用方法の抜け漏れを確認できます。
LPやECサイトにも使えますか?
基本項目は共通して使えます。広告との整合性や購入導線などを詳しく確認する場合は、BtoC向けLP改善チェックシートやEC改善チェックシートもあわせて利用してください。
誰がチェックするのがよいですか?
運営担当者だけでなく、営業、カスタマーサポート、制作担当など、ユーザーから異なる情報を得ている人が一緒に確認すると、課題の偏りを減らせます。
課題の整理から相談できます。
チェックが複数領域にまたがる場合や、優先順位を決めにくい場合は、Webサイト改善診断で現状の整理から対応します。いきなり全面リニューアルを前提にせず、必要な範囲を確認します。